頭が悪い人の話し方

昨日、車の中で聴いていた「サントリー SATURDAY WAITING BAR AVANTI」(土曜日17:00〜17:55/JFNでネット)で、この人の話に聞き耳を立ててたんですよ。なんだか面白かったので、早速本屋に立ち寄り、購入しました。

頭がいい人、悪い人の話し方 (PHP新書)
樋口 裕一
PHP研究所
売り上げランキング: 6518
おすすめ度の平均: 2.5

1 頭の悪い人って誰のことかわかってるの?
5 要するにあるあるネタ。
1 著者。人間観察不足です。
1 何故売れない?
2 この一冊が著者の方向性を狂わせた

あはは。思い当たることばかり。
いや、周りの人にではなく、自分に。

それにしても、帯のコピーが凄い。
「ついに100万部突破!! “バカ”と呼ばれないための知的実用書」だって。

別に「バカ」と呼ばれてもいいし、この本を全面支持するわけでもないのだけど、いやでも人と話さないと仕事にならない我が身ですから、それなりに読みましたよ。傾聴に値することが多かったです。ええ。技術的には。

あえて樋口先生に言わせていただくと、それぞれの例ごとに、「周囲の人の対応」「本人が自覚する為に」という説明があるのですが、これははっきりいって、読む必要なし。だって、「こういった人と関わりになるのは避けましょう」「無理であれば、聞き流しましょう」「上司の場合は、黙ってましょう」と終始この調子。

もう一つ、結局「頭がいい」「頭が悪い」の2つのタイプにどうしても分けたがっているのね。
この件を読むとこの人の考え方がよくわかる。結局ここが言いたかったのかもしれないし。

 世の中には驚くほど無知な人がいる。

 世界地図のアメリカや中国の位置を知らなかったり…(中略)…日本の汚職議員の名も知らない。

 きっとこの種の人たちは、子供のころから学校の勉強を嫌って、「落ちこぼれ」ていったのだろう。

 もちろん、この種の人たちは、無知であることだけとっても、十分に愚かだ。この種の人たちが、政治や経済についてしっかりした考えをもてるとは考えられない。社会の進むべき方向を判断して、選挙権を行使するだけの能力があるとも思えない。

 (中略)

 だが、私がこの種の人たちを愚かだと考えるのはこうしたことのためではない。このような状況から一歩も出ようとしないでいることのほうが、もっと愚かなのだ。

思いっきり社会ダーウィニズムですよ。小泉や竹中と一緒です。
学者で言うと、中谷巌(UFJ総研理事長)、中条潮(慶応大教授)、三輪芳朗(東京大教授)らと一緒。

で、この人たちは「どうせバカだから」と開き直っていることが甘ったれだ、といって、自己責任を押し付ける。
<「無知なバカな人」「弱者」「負け組」…みんなそうなったお前が悪い>
共通しているのは、弱者に対する視点がまるっきり欠如してるってこと。

そんな観点から読み返すと、またおもしろいです。この人たちがどういう人間を嫌っていて、どういう人間を育てたいのかがよくわかります。
こんな本が100万部売れている、という事実に空恐ろしいものを感じました(あ、自分もその一人か…切腹!)。

コメント

  1. ここら より:

    いまホントにこういう本多いね。
    全部勝ち負けなのね。不思議。
    というより、哀しいね。
    日本語の本なら、金田一晴彦の方が面白いよ。
    金田一さんが一番好きな日本語は「いそしむ」だそうです。
    http://www.melma.com/mag/75/m00001275/a00000106.html
    「働くことを楽しむ日本人の特性をよくあらわしている」とのことです。
    社会はそういう気持ちをなくしかけているのかなぁ。
    私は話し方で儲けよう(勝ち組になろう)とは思いませんが、きれいな日本語を話せる人にはなりたいです。

タイトルとURLをコピーしました