お手軽ジントニック大作戦、およびトニックウォーターのキニーネ問題について

夜毎に暑さと湿気が増し、よなよないただくドリンクのセレクトに迷う今日この頃。
とりわけ風呂あがりの暑さに抗うことのできるような、スッキリした飲み物をいただきたいのですが、ビールやらチューハイというのも芸がありません。
おそらく、キンミヤハイサワー、辺りがベストだと思うのですが、いかんせん飲み過ぎる危険が高いし、ハイサワーの炭酸がすぐ抜けちゃう。
冷凍庫にはキンキンに冷えたタンカレーが横たわっているんだけど、風呂あがりにはややハードルが高い。そもそもタンカレーはスッキリしすぎててロックでいただくのは面白みが無い。
いっそのことギムレットでも作ってやろうか、とも考えましたが、夜毎シェイカーを振るのは私の芸風ではないし、素人のシェイカー振りはリスクが高いんで遠慮。
あ、そうか、ジントニックがあるじゃない。お手軽ジントニックでも、それなりに美味いはず。

てな訳で、近所のやまやシュウェップスのトニックウォーターを数本買い込み、冷蔵庫で冷やしこみ。(←これ、非常に大事) タンカレー+シュウェップス、というかなりのベストコンビで作らせていただきます。

氷をそれなりに入れた大き目のタンブラーにタンカレーを注ぎ、そこにシュウェップスを投入。ステアは1回。(←これも大事)
ライムは買ってこなかったので、ライム抜きお手軽ジントニックの完成です。

なんだ、めちゃくちゃ美味いじゃないか。

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トニックウォーターはいろいろなメーカーから出てますが、私は国産シュウェップスが一番好きです。結構濃い目の味が好み。
巷の「トニックウォーター原理主義者」(笑)らは、「日本のトニックウォーターはキニーネが入ってないから本物じゃない」などと言いますし、外国で飲むジントニックは格別だ、とも言います。
今の所、外国でジントニックをいただくシーンに遭遇していないので、その味は存じ上げません。でも、今、わが家で飲めるジントニックとしては、今飲んでる国産シュウェップスで十分。

さて、この「トニックウォーターのキニーネ問題」なのですが、調べてみるとなかなか面白いのです。

「キニーネ問題」の主題はだいたい以下の3点です。

①日本のトニックウォーターにはキニーネが入っておらず、別物である。
②日本の薬事法で、キニーネは「劇薬」に指定されているため、トニックウォーターには添加できない。
③最近、キニーネを使ったトニックウォーターが輸入されている。これは「キナ抽出物」を使ったものであり「本物」である。

そもそもトニックウォーターは、熱帯地方のイギリス植民地で「マラリア予防」と滋養強壮のために、苦味料にキニーネを入れたものが飲まれていたのが始まりと言われています(「tonic」には「強壮剤」という意味がありますからね)。それがあの独特の風味を作り出しておった訳ですが、この「キニーネ」さん…日本薬局方収載の「キニーネ塩酸塩水和物」「キニーネ硫酸塩水和物」「キニーネエチル炭酸エステル」は医薬品ですから、許可なく食品に添加することができません。なのでキニーネ入りは作られてこなかった、ということになっています。

しかし、キニーネを主成分とする「キナ抽出物」は、「既存添加物」として食品添加物として認可されています(リンク先別表の85番を参照)ので、キニーネを含有する食品の製造・流通は日本では禁止されておりません。ただし、既存添加物がリスト化されたのは1995年の食品衛生法改正(リストが公示されたのは翌1996年)ですので、それまでは純粋に「違法」扱いされていたと思われます。1996年以降は「キナ抽出物」として表示すれば問題ないので、「日本ではキニーネを使ったトニックウォーターは作れない」という言説は正確にいうと「デマ」ということになります。

さらに、キニーネ問題最大のカギとされる「キニーネは劇薬に指定されているので、食品に添加できない」という言説ですが、これはWikipediaをはじめとして、「トニックウォーター」「ジントニック」を紹介するサイトでの決まり文句のように書かれています。私も当然信じていました。
し・か・し! 「劇薬」を指定している薬事法施行規則の別表には、どこにもキニーネがないのです(※)。これはどういうことでしょうか。かつては指定されていたのでしょうか。
とにかく、2016年現在、キニーネは薬事法上は「劇薬」には指定されていない、というのが事実です。
※猛毒の「ストリキニーネ」と混同した可能性はゼロではない、ですね。

結論として、この「キニーネ問題」は、このように考えるべきなのでした。

①日本のトニックウォーターにはキニーネが入っておらず、別物である。→まあ、正しい。
②日本の薬事法で、キニーネは「劇薬」に指定されているため、トニックウォーターには添加できない。→「劇薬」には指定されていない。1996年以降は「キナ抽出物」であれば違法ではない。
③最近、キニーネを使ったトニックウォーターが輸入されている。これは「キナ抽出物」を使ったものであり「本物」である。→キナ抽出物を使っているので味は外国のものと同じかもしれないが「本物」というかどうかは個人の自由。

ネットの情報では、シュウェップスとカナダドライは原料を輸入しているので「キナ抽出物」を使用しているとのこと(Wikipediaでもキニーネ特有のブラックライトによる蛍光励起の写真がある)。ただし添加物表示に「キナ抽出物」と書くかどうかはメーカーの気分次第(「苦味料」と一括表示していいことになっている)ので、本当のことはメーカーに聞いてみないと分かりません。
いずれにしても、私はシュウェップスのトニックウォーター、好きです。

翌日、仙台市内のやまやで、添加物欄に「キナ抽出物」と自身をもって表示したトニックウォーターを発見したので、即買い。
それが「フィーバーツリー・プレミアム・トニックウォーター」でございます。
値段はシュウェップスの倍、1本あたりの容量も少なめ(200ml)。コストパフォーマンスは良くないのですが、ネットで大々的に「ついに本物が上陸」などと煽っていたので、試してみる価値は十分にありそうです。

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お味の方は、甘味料の関係か、シュウェップスより薄めですが、苦味ははっきりしていて、なかなかのものです。
ただ、やっぱりお高いし、容量も中途半端。うちのタンブラーだと、量を見極めておかないと2杯作れないのです。
仙台に行かないと買えないので、当分はシュウェップスでもいいや。

さらに次の日、ようやくライムを買ってきました。
ライムを一絞りして、タンブラーにも添えてみました。あら、おしゃれだこと。

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ライムを入れるとさらにさっぱりして、本当に風呂あがりには最高です。
そんなことしてたら、タンカレーがあっという間に無くなってしまいました…。

by カエレバ

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