リセットしたい、と思うことはいくらでもある。
つらい現実から解放されてみたくて、自分の未来や夢を描いてみたり、時には妄想したりして、明るい未来を展望すべく努力するために、リセットボタンを押してみたくなるのだ。
でも、リセットボタンを押したとしても、過去や自分の記憶や体験はリセットできないことに気付く。
それは抹消できないのだ。
人間の心は、初期化できないのだから。
だから、人は過去を背負って生きていかなければいけないのだ。
それがどんなに辛いものであったとしても。
もちろん、リセットしたことを後悔する必要はない。
それは新たなスタートを意味しているわけで。
だから、新たなスタートは、過去を背負いながらの、痛苦のスタートを切ることになるだろう。
過去を背負って、記憶を抱いて、人は前に進んでいくしかない。
明るい未来を掴まえるためには、背負わなければいけない過去を忘れてはならない。
そこから逃げてはいけない。
つらい現実のままでいれば、重たい過去の痛苦に直面してうろたえる必要はない。
明るい未来を求めるからこそ、突き当たる壁がある。
もし、君が突き当たった壁の厚さや重さに怖気づいて、つらい現実のままでいることを選択したとしても、それを誰が責めよう。
それも君の精一杯の選択だから。
でも、明るい未来を掴まえるために、壁に立ち向かい、重たい過去を背負う覚悟ができるのなら、喜んで僕は共に背負うだろう。
*Une gâchette était ses mots.
(Ecrit par billancourt.)