もう一人の生誕100年

すでに何度か過去のエントリーで触れていますが、今年は太宰治の生誕100年です。

もう一人、私がリスペクトしてやまない川柳作家、鶴彬(つる・あきら)も今年が生誕100年。
前のエントリーで書いた「足みじかおじさんの旅」と一緒に買ったのがこちら。

小説 鶴彬―暁を抱いて
小説 鶴彬―暁を抱いて

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吉橋 通夫
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5 川柳人・鶴彬(つるあきら)の生涯

初めて鶴彬を知ったのは、実は10年ほど前。
佐高信の「タレント文化人100人斬り」という本の中で、佐高が「天才」と評して、2度ほどその名前に触れていたのです。

タレント文化人100人斬り (現代教養文庫)
佐高 信
社会思想社
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おすすめ度の平均: 2.5

3 乾いた保守への批判の雨
2 混同している?
1 んー
4 辛口
3 こんな見方もあります。

 おしんの舞台となっている山形県酒田市の出身者として言わせてもらうが、あの時代、おしんのように幸運に恵まれて這いあがれたのは例外で、多くのおしんは貧しいままに死んでいったのである。身売りされて売春婦となった者も大勢いる。そうした社会や政治に橋田の眼は向かない。高市と同じで、想像力の欠如である。

 鶴彬という川柳作家は、あの時代の娘たちについて「修身にない孝行で淫売婦」という痛烈な川柳をつくった。1909年生まれの鶴は「手と足をもいだ丸太にしてかへし」「万歳とあげて行った手を大陸へおいてきた」といった反戦川柳を連作して捕らえられ、28歳で亡くなっている。

 おしんのモデルはヤオハンの創業者、和田カツだと言われるが、彼女がガマンを説く「生長の家」の信者であることを忘れてはならない。



(橋田壽賀子に対して)

 松本は、お笑いの世界にそれほど執着心はないのだといい、「せっかくオレ様が笑わしてやっている」のに、足を引っ張ったり中傷したりするなら、いつでもやめてやる、「オレがいなくなったお笑い界がどうなるか少しは考えてみろ」と力んでいるが、松本が引退して困る人間がどれほどいるのか。お笑いで人気が出たからといって、自分で「天才」などというのはおこがましいだろう。天才とは、16歳の時に「暴風と海との恋を見ましたか」という川柳をつくり、「万歳とあげて行った手を大陸へおいてきた」等の反戦川柳で捕らえられ、「蟻食いを噛み殺したまま死んだ蟻」という壮絶な川柳を遺して28歳で獄死した鶴彬のような人をいうのである。



(松本人志に対して)

この佐高の批判の中身もさることながら、私は鶴彬のこの壮絶な川柳にノックアウトされました。
それ以来、鶴彬を追っかけるようになりました。

生誕100年の今年、「鶴彬~こころの軌跡」という映画が公開されます。
出身地の石川県では上映がはじまったようです。ぜひこの映画も観てみたいと思います。

 枯れ芝よ団結をして春を待つ

 暁を抱いて闇にゐる蕾

 胎内の動き知るころ骨がつき

コメント

  1. BIN★ より:

    はじめまして。
    30日に、ドキュメントドラマ『鶴彬 こころの軌跡』を見ました。
    澤地久枝さんの本で鶴彬さんについて知りましたが、一年も経っていません。10年も前から知ってらっしゃたんですね。すごいことだと思いました。吉橋通夫さんの本も探して読んでみたいと思います。

  2. billancourt より:

    BIN★ さま >
    はじめまして。
    コメントありがとうございます。トラバもさせていただきました。
    「鶴彬~こころの軌跡」、ご覧になられたんですね。ブログも拝見させていただきました。
    やはり、今、このような時代だからこそ、彼の生き様を見ておくべきだ、と思います。
    7月に東京で上映されるようなので、なんとか見に行きたいと思います。

  3. BIN★ より:

    トラバいただきました。
    どうもです。
    ところで、ブログのタイトルを見て、
    不思議に思いました。
    地下鉄?9号線・・・フランスのパリ??

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