月齢4くらいの三日月+α(?)が浮かんでいるの、見えますか?
そんな月を見ていると、いらいらした心が少し和んできます。
後輩が先輩に對する禮、生徒が先生に對する禮、子が親に對する禮、それらは、いやになるほど私たちは教へられてきたし、また、多少、それを遵奉してきたつもりであるが、しかし先輩が後輩に對する禮、先生が生徒に對する禮、親が子に對する禮、それらは私たちは、一言も教へられたことはなかつた。
民主革命。
私はその必要を痛感してゐる。所謂有能な青年女子を、荒い破壊思想に追ひやるのは、民主革命に無関心なおまへたち先輩の頑固さである。
若いものの言ひ分も聞いてくれ! さうして、考えてくれ! 私が、こんな如是我聞などといふ拙文をしたためるのは、気が狂つているからでもなく、思ひあがつているからでもなく、人におだてられたからでもなく、況んや人氣とりなどではないのである。本氣なのである。昔、誰それも、あんなことをしたね、つまり、あんなものさ、などと軽くかたづけないでくれ。昔あつたから、いまもそれと同じような運命をたどるものがあるといふような、いい氣な獨斷はよしてくれ。
いのちがけで事を行ふのは罪なりや。さうして、手を抜いてごまかして、安樂な家庭生活を目ざしてゐる仕事をするのは、善なりや。おまへたちは、私たちの苦惱について、少しでも考へてみてくれたことがあるだらうか。
太宰治「如是我聞」より
(筑摩書房「太宰治全集」第10巻P.359~360)
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太宰 治
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水夫の話
思わず引用したくなる
く、暗い・・・
素直な人
「如是我聞」を読むだけでも価値あり